募集・採用の留意点

会社は何のために人を採用をするのでしょうか? 仕事が忙しいから、退職者が出たのでその補充に、理由は様々でしょう。しかし、一人新たな人を採用するということは、今まで以上の効果を期待してのことです。

当事務所では、採用は会社に経済効果をもたらすべきである考えております。

しかし、採用を一歩間違えると経済効果をもたらすどころか、会社に危害を及ぼすことになりかねません。お給料を支払って会社が働いてもらっているのに、人はひとたび雇ってしまうとそう簡単に辞めてもらえなくなります。

そのようなことがないよう、ここではいくつかの採用時の留意点をあげます。

募集についての注意

1.求人票はあくまでも目安

求人票に掲載されている給料の額などの求人情報はあくまでも目安に過ぎず、採用後の労働条件は個々の労働契約によります。

ですから「月給25万円」の求人を見た応募者に、労働契約により「月給20万円」で雇用することはなんら問題とはなりません。本人とよく確認して雇用をスタートさせましょう。

求人の応募がないからといって、労働条件を極端に高く提示することです。

例えば、給料30万円で募集したが、実際は20万円だったとなれば、従業員の定着につながりませんし、トラブルにも発展しかねないため注意が必要です。

 

2.募集における注意点

男女雇用機会均等法では募集・採用にあたり性別による差別が禁止されています。

しかし、労働基準法では「国籍、信条または社会的身分」を理由として労働条件についての差別を禁止しており、この中には採用は含まれてはいません。

つまり、採用後は「国籍、信条または社会的身分を理由」とした差別は許されませんが、採用するか、しないかについては会社の自由であり、法的にはなんら問題はありません。

 

3.履歴書の嘘について

面接時に履歴書を送ってもらったりします。前職が解雇だったのに嘘をついて自己都合退職など書いてくる場合や、嘘の学歴を書いている例もあります。

前職の退職理由については、雇用保険の基本手当(失業保険)をもらっていた紙を確認させてもらえば待機期間があるかどうかなどですぐに判断がつきます。

職業を転々と繰り返しているかどうかも、年金の加入記録を提出してもらえばすぐにわかります。

あとあとこのような事実が解った場合、就業規則によっては解雇理由に該当しますが、働き始めて長い年月が経ってしまうとたとえ嘘をついていても辞めてもらいにくくなりますので、事前に確認することが大切です。嘘をつくような人にろくな人はいませんから気をつけましょう。

 

4.試用期間について

試用期間とは新たに雇った社員の適性を判断するため、本採用に先だって試しに使用る期間です。一般的には3ヶ月か6ヶ月の期間を設けているところが大半ですが、この試用期間の長さについては制限はありませ。ただし「1年を超えるようなものは公序良俗に反し無効」とする最高裁判例があるので、試用期間は長くても1年までにしましょう。

また、試用期間の延長は、所定の使用期間中では社員の適性が判断できないような事案があった場合のみに限り延長ができます。

試用期間中の解雇については、その期間の勤務状態等により、引き続き雇用することが適当でないとの判断に合理性がある場合に限られます。この場合も解雇予告が必要となります。ただし、入社後14日以内に解雇する場合は解雇予告は必要ありません。試用期間中に本採用が厳しそうな場合は事前に本人にその旨は伝えておきましょう。

 

5.採用のポイント

中小企業では従業員同士の関わりが濃厚なので、会社の考え方を理解した人を採用しましょう。また、せっかく採用してもすぐ辞められてはかなりの費用を無駄にしてしまうことになります。早期に辞めてしまう人の多くは、募集内容や面接の時の印象と実際に働いてみたときのギャップや人間関係の煩わしさをあげられます。

このようなことを無くすために、面接時に賃金、労働時間、残業、休日などの労働条件について本当のことを話すことはもちろんですが、社風について説明し、会社が求める人物像についてもきちんと話をしましょう。また、面接を行うにあたり、人事担当者だけでなく、直属の上司となる者を立ち会わせてみてもよいでしょう。

能力的に仕事を続けてもらうことが難しい場合はやはり試用期間満了をもって本採用を行わないことが大切です。温情をかけることはのちのち良い結果は招きません。 それはその人が仕事に向いていないということです。試用期間中はきちんとどこがだめなのかきちんと指導しましょう。

内定と労働契約の成立

採用内定は労働契約の成立に値するか否か。

最高裁の判例では「解約権を留保した労働契約が成立」したものと解釈されています。

そのため、企業の採用内定取り消しは、客観的に合理的な理由があり、社会通念場相当として是認できる場合に限り許されます。

内定であっても、安易な取消はトラブルに発展しかねませんので注意が必要です。

内定者はあくまでも内定者。従業員ではありませんので、就業規則の適用はありません。

採用後のトラブルを防ぐために

1.労働契約書の交付

採用が決まったら、労働契約書を交付し、賃金、勤務時間、休日等の労働条件を確認します。また、解雇条項を記載することも有効です。

ただし、解雇条項については就業規則に規程がされていなければなりません。

労働契約書には、契約締結の日付を記入し、お互い、署名・押印します。

 

2.誓約書の提出

就業規則の包括的な同意を得て、就業規則に定める、各労働条件を労働契約の内容とします。そのため、誓約書は必ず提出してもらいましょう。

 

3.試用期間内であっても安易な解雇をしない

勤務態度、職務能力に問題があれば、その都度注意をし、始末書などを提出させます。いきなりの解雇はトラブルのもとです。

ただし、試用期間の定めがある場合で、入社後14日以内の解雇の場合は解雇予告は必要ありません。

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