今から覚える就業規則入門

就業規則とは職場で働く労働者の労働条件や服務規律などを定めたものです。職場において多数の労働者が就業するには、そこに一定の秩序の維持と確保が必要となります。

就業規則にはそのための規律や制裁を定めることで、事業主と労働者の間での無用な争いを未然に防ぐ役割があります。

就業規則に不安がある経営者の方、チェックリストにて確認してみてください。

 

 チェック項目  ○ × 
 1

 就業規則はオリジナルである(ひな型を利用していない)

   
 2

 就業規則が適用される社員の範囲は明確である

   
 3

 服務規程について18項目以上の記載がある

   
 4

 職場での具体的ルールが書かれている服務規律である

   
 5

 勤務時間や変形労働時間制について実態に即している

   
 6

 14日以上、無断欠勤が続いた社員を退職させている

   
 7

 残業について許可または申告制にする取り決めがある

   
 8

 有給休暇の使用目的を明らかにする記述がある

   
 9

 配置転換、転勤・異動等についての記載がある

   
 10

 勤続1年未満の者には休職期間を与えない

   
 11

 解雇事由を10項目以上、具体的に明記している

   
 12

 懲戒解雇事由を30項目以上、具体的に明記している

   
 13

メンタルヘルスについてサポートや配慮する記述がある

   
 14

 誓約書は入社・退社時ごとに作成している

   
 15

 給与改定の時期や業績よっては減額する記述がある

   
 16

 裁判員制の休暇について規程がある

   
 17

 新型インフルエンザ対策について規程がある

   
 18

 H22年6月30日施行の育児介護改正法に対応している

   

×が0〜5個

就業規則について問題はありません。これからも法改正等、情報を収集し、労務管理に生かせるよう取り組まれますように。

×が6〜12個

トラブルが発生する前に見直し、変更をお薦めします。リスクを回避するためにも、今一度見直しをされますように。

×が12個以上

就業規則の早急な見直しをお薦めします。この際、職場での周知を徹底し、リスクを回避されますように。

気になることがあればお気軽にご相談ください

就業規則の作成・届出の義務

就業規則の作成

常時10人以上の従業員を使用する事業主は就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。従業員の雇用形態は問われないので、使用する従業員がアルバイトやパートタイマーだけであっても10人以上であれば就業規則を作成しなければいけません。

10人未満の事業所にあっては就業規則の作成や届け出は義務づけられてはいませんが、労働条件を明確にし、トラブルを未然に防ぐ観点からも作成した方がよいでしょう。

労働者の意見聴取

就業規則の作成や変更について、使用者は労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず、就業規則の届出を行うとき、この意見を記した書面を添付します。

この場合、あくまでも意見を聴くだけでよいので、同意を得たり、労働者の意見を反映させる必要はありません。強いて言えば、就業規則に労働者が反対していても、意見聴取さえしていればよいのです。

周知義務

事業主は就業規則を見やすい場所へ掲示、備え付ける、書面を交付するなどにより、労働者に周知させなければいけません。

就業規則の記載事項

就業規則には絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。絶対的必要記載事項は会社の規模に関わらず必ず記載しなければならない事項で、相対的必要記載事項は当該制度がある場合は記載しなければならない事項です。

絶対的必要記載事項

  • 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合には就業時転換に関する事項
  • 賃金(臨時の賃金は除く)の決定・計算、支払いの方法・締切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇となる事由を含む)

相対的必要記載事項

  • 退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払方法・支払時期
  • 臨時の賃金及び最低賃金額に関する事項
  • 労働者の食費、作業用品その他の負担に関する事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰及び制裁に関する事項
  • その他、当該事業場すべてに適用させる定めをする場合には、その定めに関する事項

先月、就業規則を改定し、労働基準監督署に届け出ました。従業員には改訂の趣旨は伝えましたが、具合的な内容までは公表していません。今月から新規定を適用することができますか?

労基法では就業規則の作成・変更には1.労働者の意見聴取、2.労働基準監督署への届出、3. 労働者への周知の3つの手続きを取ることを定めています。一般に就業規則の効力は1と2の手続きが欠けていても有効とされています。しかし、3に関しては「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生じるためには、その内容を、適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要する」(最高裁判決 フジ興産事件)とし、労働者に内容を周知せしめた時から効力が生ずることになります。

周知の方法

  • 1
    常時各作業場の見やすい場所へ掲示、または備え付ける
  • 2
    書面を労働者に交付する
  • 3
    磁気テープ、磁気ディスク等に起債し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置する

就業規則は会社の憲法ともいわれる大切なもの。だからといって大事に金庫に保管しておく、または社長室や重役室のキャビネットにしまっておくことはNGです。

就業規則は従業員に周知させなければならないので、一般社員が立ち入ることの出来ない場所での保管は見せないのと同様、違法となります。

就業規則は従業員の立ち入ることのできる空間での保管が好ましく、例えば総務課のキャビネットなど誰でも手軽に閲覧できることがベストです。

ですが、前述した通り、就業規則は会社にとって大切なものに変わりません。就業規則の保管を任されている課からの持ち出しを禁じたり、責任者同席の上での閲覧、閲覧者名を控えることはなんら問題とはなりません。

使用者は労働者の合意を得て、就業規則を変更することができます。

しかし、労働者側に不利益となる変更については原則としてできません。変更された就業規則の内容に合理性があれば不利益変更が認められる場合があります。

「合理性」があると判断される要素

  • 1
     使用者側の変更の必要性
  • 2
     就業規則の変更により労働者が受ける不利益の内容と程度
  • 3
     変更により他の労働条件の改善
  • 4
     変更後の就業規則の内容の相当性
  • 5
     労働組合等の交渉と従業員への対応
  • 6
     社会状況

労働条件の不利益の内容・程度

労働条件の重要度は1賃金・退職金、2労働時間・休日・休暇、3福利厚生の順になっており、重要度が高いほど慎重に対応しなければなりません。程度に関しては個別の事案ごとに判断されます。

賃金の不利益変更

経営状況悪化による賃金の切り下げ

  • 会社の存続が危ぶまれる状況 
  • 経営悪化による雇用調整が予想される状況

年功序列から能力主義による賃金体系への変更 

  • 適正な評価制度の確立
  • 評価者の教育・研修
  • 評価の本人への開示

以上の要件の他、1での合理性がなければなりません。

 

安易な就業規則、労働条件の不利益変更は労働者の就業意欲を低下させかねませんので、注意が必要です。

また、今日の厳しい経済状況の中、会社を存続させるためには就業規則の不利益変更もやむを得ないのも事実です。

使用者側だけでなく、労働者側にも納得できるように変更していくことが大切です。それには使用者、労働者双方の信頼が不可欠です。

 

就業規則の変更と賃金体系の見直しは田井中労務行政事務所までご相談ください。

就業規則の見直し

次の事項に当てはまる場合は、就業規則を見直しを検討されるほうがいいでしょう

  • 就業規則を5年以上変更していない
  • パートタイマー・アルバイト用の就業規則がない
  • 法改正等により実情に合わない
  • トラブルが起きた時の対処に不安がある
  • ネットや書籍でひな形を入手し、作成・届出をした

そのほか気になることがありましたらお気軽にご相談ください。就業規則の診断も行っております。

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田井中道江 昭和41年生まれ 大分県大分市出身。中央大学 法学部卒。社会保険労務士 登録

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