うつ病と休職

うつ病者の労務管理 欠勤から休職へ

ストレス社会と言われる現代では、うつ病は15人に1人の割合で発症しています。企業が避けて通れない重要な労務管理のひとつになっています。

うつ病により欠勤が続いている場合、休職へ切り替えるためには就業規則に休職命令の規程が必要です。休職への切替規程がないといつまでも欠勤扱いとなり、休職終了後の退職手続きへ進めることができません。中途半端な状態は会社にも本人にもよくない状態になります。 

休職規程作成のポイント

  • 1
    医師の診断書の提出を求める
  • 2
    業務上と私傷病とで休職期間に違いを設ける
  • 3
    休職命令のタイミング
  • 4
    休職期間の長さと延長
  • 5
    給料の支給の有無
  • 6
    社会保険料の従業員負担分の徴収について
  • 7
    勤続年数に休職期間を参入させるかどうか
  • 8
    休職回数の制限と休職期間を通算させているか

会社側の対応

休職中、治療に専念している社員に連絡を取り、仕事の煩わしさを思い出させていけないと考え、連絡を一切しない会社さんもあるかと思います。

休職期間が長期にわたる場合、必ず月に1回は事務連絡のためだけに家庭訪問か電話をしてください。従業員の回復状態を確認してあげてください。

この時、休職期間中の社会保険の保険料の支払方法について就業規則に規定がない場合、話し合われた方が良いでしょう。

また、休職はあくまでも、治療に専念するためのもの。しかし、気分転換のため旅行をされる場合は、事故などの心配があるので報告書を提出させましょう。

休職する社員の心構え

復職をあせりすぎない
お医者さんやカウンセリングの方とよく話をしましょう。

症状を勝手に判断し、薬の量を減らしたりしない。
必ず主治医の指示に従う。

生活の記録をつけてみる
睡眠、食事のほか何をしていたか(読書、散歩)などつけてみてはいかがでしょう。何もする気が起きない状態から、回復に向かっていれば、活動的になってきていることに気づくでしょう。

休業中は治療に専念すること
当たり前のことですが、休業は休暇とは違います。気分転換は必要でしょうが、海外旅行などの余暇活動はうつ病に対する誤解や偏見を助長するだけでなく、職場復帰の調整が難しくなる場合もあるのでやめましょう。

 少しずつ通勤の練習などを自分で開始してみましょう。

復職の条件

従業員が復職を希望しても、完全治癒ができていなければ、また休職という事態になりかねません。主治医の診断書を提出させ、産業医の意見に基づいて会社が復職させるかどうかを判断されるほうがよいでしょう。

また、「軽微な業務につき、就業可」とある場合、配置転換の配慮も必要です。

ここで、注意したいのは、決して主治医の診断書のみで判断しないということです。主治医は患者より「復職可能と書いてほしい」と頼まれれば、その意向に配慮した診断書を書きます。必ず産業医に受診させるようにしましょう。

最終判断権は会社にあります。会社は安全に働かす安全配慮義務があるからです。

休職前の職務に就業困難な場合

休職前の職務に就業できれば何も問題はありません。

「軽微な業務につき、就業可」と診断書にある場合に、実際配置転換した場合、賃金をどうするか、また、中小企業では配置転換させる部署がないという場合もあるでしょう。

この場合、賃金減額するには本人の同意が必要です。原職復帰ができない場合は退職扱いとする就業規則の規程が必要です。

治癒せず休職期間が経過した場合

就業規則に規定することで、休職期間満了後に労働契約を終了することができます。

復職させるときの留意点

従業員が復職を希望していても、不完全な状況での復職は避けましょう。従業員になにか問題が起こったとき、会社の安全配慮義務を問われることがあります。

労務管理を徹底することがトラブルの回避になります。

傷病手当とは

傷病手当とは病気やけがで就業できない者の生活を補償するため、社会保険からの現金給付をいいます。

傷病手当と似ている給付に労災給付がありますが、こちらの給付を受給するには仕事が原因であることを証明しなければなりません。

うつ病の原因は仕事だけでなく私生活での要因も含まれることも多いため、労災が認められることはあまりないようです。

傷病手当の受給要件

1.健康保険の被保険者であること
被扶養者は受給できません。
2.労務不能であること
4日以上仕事を休んでいること。入院、自宅療養は問われませんが医師の診断による証明が必要です。
3.休んでいる間、給与の支払いを受けていないこと

支給期間

傷病手当は1年6ヵ月間支給されます。初診日より1年6ヵ月が過ぎても完治しない場合、労務不能状態であっても支給は打ち切られます。

申請方法

「健康保険傷病手当金支給申請書」を協会けんぽに届け出ます。このとき、「賃金台帳」「出勤簿」の写しを添付します。

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田井中道江 昭和41年生まれ 大分県大分市出身。中央大学 法学部卒。社会保険労務士 登録

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